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生活習慣病には、糖尿病、高血圧、脂質異常症(高脂血症)、痛風(高尿酸血症)などがあります。いずれも過食や偏食、運動不足、嗜好品(タバコ・お酒など)の摂取過多といった生活習慣の不摂生が主な原因となって起こってくる慢性疾患です。
近年、死亡原因の約6割が、生活習慣病である糖尿病、高血圧、脂質異常症などによって引き起こされる心疾患、脳血管疾患等であるとみられており、つまり生活習慣病は生命にかかわる疾患とさえ言えます。しかし一方、生活習慣を見直すことによって予防・改善できる余地が大きいのも、生活習慣病の特徴です。生活習慣病は初期のうちは、ほとんど自覚症状がみられませんが、自覚症状が現れる前の早めの改善をお勧めします。
当クリニックでは、「かかりつけ医」として生活習慣病の診療・管理を行いますので、ご相談ください。
糖尿病とは、何らかの原因で血液中のブドウ糖が細胞にうまく取り込めなくなってエネルギーとして十分に利用されず、ブドウ糖が慢性的にだぶついてしまっている状態です。長期にわたり血液中のブドウ糖の過剰な状態が続くと、全身の血管に様々な問題が現れ、悪くすると心筋梗塞や脳梗塞、人工透析や失明など、深刻な事態にも陥りかねません。
糖尿病は現在のところは、残念ながら完治させることができないのですが、糖尿病そのものは治せなくても、血糖値を正常に保ち、また体重や血圧、血中脂質も一緒に良好な状態に保てば、合併症を起こさずに健康を維持することは十分に可能です。
そして血糖値を正常に保つ上で重要になるのが、継続的な「コントロール」です。医師の指導のもと、まずは食事療法と運動療法を行います。これだけで正常値になる患者さんもいらっしゃいます。糖尿病が進行したケースや、食事・運動療法だけでは血糖値がうまく下がらないケースでは、内服薬による治療やインスリン療法が行われます。
高血圧とは、血圧がある程度の範囲を超えて高く維持されている状態です(診察室血圧140/90mmHg以上・家庭血圧135/85mmHg以上、家庭血圧を優先する――「高血圧治療ガイドライン2014」(日本高血圧学会)による)。
血圧の高い状態が続くと、血管壁が圧力によるダメージを受けます。するとこの壁が厚くなったり、硬くなったりする動脈硬化の原因になり、狭心症や心筋梗塞、脳卒中、腎臓病などを引き起こしやすくなります。
高血圧の原因は特定されていませんが、遺伝的要因と食生活(塩分の摂り過ぎ)や嗜好品(タバコ・お酒など)の摂取過多、運動不足や精神的ストレスなどの環境的要因が重なることによって引き起こされると考えられています。
高血圧の治療にあたってまず行うべきは、適正な体重にし(BMI25未満)、適度な運動(1回30~60分以上、週に3回以上の有酸素運動)を継続的に行い、1日6g未満の減塩に努める(まずは即席麺や梅干しなど塩分の多い食品を控える)など、生活習慣の改善(食事・運動療法)をすることです。また、医師から薬を処方されたら、指示通りにきちんと服用することも大切です。
脂質異常症(高脂血症)というのは、血液中の脂質、具体的には「コレステロール」や「中性脂肪(トリグリセライドなど)」の濃度が慢性的に高い状態のことです。
脂質異常症を放置すると動脈硬化が進行し、やがて心筋梗塞や脳卒中などを引き起こす原因となります。脂質異常症は、エネルギー過多な食生活や嗜好品(タバコ・お酒など)の摂り過ぎ、運動不足などの環境的要因が重なって引き起こされると考えられています。
脂質異常症の治療は、生活習慣の改善と薬物療法が基本です。
生活習慣の改善は、血中脂質を下げるだけでなく、動脈硬化の進行防止にも役立ちます。
生活習慣改善の主な内容は、栄養バランスのとれた食生活、適正体重の維持、適度な運動、禁煙などです。なかでも特に重要なのが、適切な食生活です。食生活のポイントとしては、高LDLコレステロール血症の人は動物性脂肪を含む食品を減らして植物性脂肪を含む食品を増やす、コレステロールを多く含む食品を減らす、野菜やきのこ類など食物繊維をたくさん含む食品を積極的に摂る、高トリグリセライド血症の人の場合は糖質の多い食品やお酒を控える、摂取エネルギー(カロリー)をコントロールする、などを心掛けましょう。
また、血管のコブをプラーク(粥腫)と言い、プラークができた状態をアテローム(粥状動脈硬化)と言います。
このプラークが破れると、そこに血のかたまり(血栓:けっせん)ができ血流が途絶えることで、心筋梗塞や脳梗塞が起こります。
心筋梗塞や脳梗塞を未然に防ぐためにも、当院では、頸動脈エコー検査を積極的に行っています。健診で脂質異常症(高コレステロール血症、中性脂肪)の数値が高い状態でお悩みをお持ちの方は、遠慮なくご相談ください。
高尿酸血症とは、血液中の尿酸が多くなり過ぎている状態です。尿酸は水分に溶けにくいため、血液中では尿酸塩として存在しています。尿酸が過多になると、針状の尿酸塩の結晶ができ、体のあちこちに溜まって、痛みを引き起こします。これが痛風です。
体の細胞は、毎日の新陳代謝で新しくつくり変えられています。その結果、細胞の核からプリン体という物質が生成されます。このプリン体が、尿酸の元になります。
また、プリン体はレバー類、干し椎茸、魚卵類、えび、かつお、いわしなど一部の魚介類に多く含まれています。そしてアルコール飲料には、尿酸値を上昇させる作用があります。こうした飲食物を好む人は、尿酸値が高くなりやすい傾向があります。
高尿酸血症では、やはり尿酸値を下げることが大切です。それには食事療法として、前記のようなプリン体を多く含む食品の摂取を控えめにし、バランスの良い食事を摂るようにします。また、禁酒・節酒を心掛けます。特にビールはプリン体を多く含むので、注意しましょう。また、食事療法と併せて運動を行い、肥満を解消することも大切です。ケースによっては、尿酸の生成を抑制する薬や、尿酸の排泄を促す薬などが処方されますので、医師の指示通りに服用してください。尿酸値は、6.0mg/dL以下を目標にゆっくりと下げていき、下がった数値はしっかり維持するようにしましょう。
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